メーユは暖かい光りで目を覚ましました。
テガーのお店の窓からは、日差しが気持ちよく入り、それが目覚ましがわりになっていました。
メーユは周囲を見回すとテガーのお店で寝たことを思い出しました。
メーユは隣で寝ていたテガーを見ると、全身を布団でくるんだままイビキをかいて寝ています。
メーユはつい、
「フフッ」と笑ってしまいました。
メーユはこのままテガーを寝かせてあげようと思いましたが、そうはいきません。
今日は引越しの日です。
早くお店を片付けて、森の奥へと行かなければなりません。
誰にも悪魔の姿を見られないように…。
メーユは布団の端を掴むと…
「それっ‼︎」
っといってテガーの布団を引っ張りました。
目を覚ましたテガーは
「もう少し寝かせてくれよう」
と寝ぼけながら布団の中から、反対の端を持って抵抗しています。
メーユも負けずに布団を引っ張っています。
そしてお互い意地になり、布団の引っ張り合いになってテガーの布団が少しめくれた時でした。
メーユは言いました。
「て、テガー……」
「テガー、起きて…」
メーユのただ事ならぬ感じにテガーは飛び起きました。
「どうしたんだいメーユ‼︎」
メーユの顔をみてテガーは驚きました。
それと同時に
メーユはテガーを見て驚きました。
2人は同じ言葉を同時に言いました。
「もとに戻ってる‼︎」
2人の姿は可愛いヤギの姿に戻っていました。
すると、驚く2人の目の前が突然、七色に光りました。
何度か見たことのある光です。
光の中から台車ネコがあらわれました。
「ゆうびーん」
台車ネコはそう言うと、テガーとメーユに1通の手紙を渡してどこかに消えました。
それは魔法の手紙でした。
差出人の名前はありませんでした。
2人は封筒を丁寧に開け手紙を取り出すと、読み始めました。
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テガーとメーユへ
おめでとう。
君たちは無事に試練を乗り越えて愛を知ってくれたね。
そして魔法は解けて、約束どおり本来の悪魔の姿に戻ったね。
でも君たちには、まだやることがあるんだ。
だから僕は君たちを、またその姿に戻したのさ。
この世界にときどき君たちのような悪魔が迷い込んでくるんだ。
その悪魔たちに愛を伝えてあげて欲しいんだ。
僕が君たちにしたように…。
君たちなら僕よりもっと上手く悪魔に愛を伝えることが出来るはずだよ。
僕は君たちを見て、そう確信したからこそお願いしてるんだ。
悪魔だってきっと誰よりも優しくなれる。
そう思うだろ。
じゃあ、頼んだよ。
元悪魔の天使より
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テガーとメーユは読み終わると顔を見合わせて驚きました。
「あの天使が、もと悪魔??」
どれくらい時間経ったのでしょう。
2人はたくさん話合いそして決めました。
「悪魔が優しくなれること。
誰も簡単には、信じないかも知れないけど、メーユと僕ならそれを証明できる。
だからこそ、僕たちはここで過ごさなきゃいけないんだよ。
一緒にここで暮らそう、そしてお店も再開だ‼︎」
テガーがそう言うとメーユは答えました。
「そうね、テガー。ふたりでこの世界に迷い込んできた悪魔を救ってあげましょう。」
その時でした。
テガーのお店をノックしているような音に気づきました。
少し小さな音のノックでした。
メーユがドアを開くと、鳥の坊やがくちばしでノックしていました。
「坊や‼︎」
メーユとテガーは元気そうな坊やの姿に安心しました。
「この前はありがとうごさいました。」
と坊やは簡単にあいさつを済ますとメーユとテガーに言いました。
「メーユさん、テガーさん、大変です。
今度は南の街に悪魔があらわれたそうです。」
メーユとテガーは目をあわせました。
「行こう、メーユ」
そういうと、テガーは力強くメーユの手をとりました。
メーユもテガーの手をギュッと握りました。
そして、2人は南の街に向かいました。
その2人の背中には、天使の翼が生えていました。
メーユと魔法の手紙
終わり
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